ブランドマネジメントとは?

ブランドの価値=ブランドエクイティとは何か?

ブランドマネジメントも、マーケティングの専門領域としてそれだけを研究している人が世界中にいるような話なので、私がここで話すべきことがどれだけあるのか分からないし、専門の方からすると稚拙な議論になるかもしれないが、実務家の観点から、理解しておいた方がよいと思う事項をいくつか述べさせていただく。

まず、ブランドとは何かということであるが、難しい定義は専門家に任せるとして、分かりやすく言えば、ある企業や商品、サービスを他のものと区別するための名称や記号ということである言えると思う。日本語で一般にブランド品と言えば、ルイ・ヴィトンであるとか、グッチとか海外のファッション系のラグジュアリブランドを思い浮かべる人も多いと思うが、マーケティング的にブランドといえば、概念としては遥かに広いということである。一番小さな単位でいえば、個々人の氏名というのもある意味ブランドであると言えるかもしれない。

では、なぜブランドが重要だと考えられているかといえば、それぞれのブランドにはそれぞれに価値があると考えられているからだと思う。専門用語的に言えばブランドエクイティなどと言われる。この辺をまじめに勉強したのが学生時代なので今はもっと良い本があるのかもしれないがこの辺を突っ込んで勉強したいのであればこの辺の本が良いと思う。

このブランドエクイティで一番最初に思いつくのが認知度である。認知が高いブランドというのは、そうでないブランドに比べて顧客獲得コストが安くなる傾向にある。例えば、ネットで買い物をしようと思って、Googleで「ネット通販」と検索すると複数の選択肢が検索結果に表示されるが、「楽天市場」というブランド名が頭に思い浮かび(純粋想起)検索されると、ほかの選択肢が併記される可能性が下がるため、楽天市場で買い物をしてくれる可能性が高くなる。これにより顧客の獲得単価は一般的には下がることになる。

また、この流れでブランドエクイティの他の例を考えると、「安心感」のようなものも例として挙げられる。今はだいぶそういう話も減ったのかもしれないが、私が楽天で始めたころは、世の中的にどこの誰かもわからないサイトでクレジットカード番号を登録するなんて信じられないとよく言われた。これはECをやっている企業がまだまだ小規模で認知度も低い会社が多く、信頼度が低かったからというのが大きな理由であろう。もちろんいまだに慎重な人はいると思うが、楽天やAmazonの今日の企業規模や、AppleやGoogleのアプリの利用者の数など考えると、オンラインでクレジットカードで何かを買う心理的ハードルは相当減っている。もちろん、経験からそこまでリスクはないと分かったという側面もあるが、同時に、これらの企業が運営していることの安心感のようなものもひとつの材料になっている可能性は高いであろう。

また、先ほどルイ・ヴィトンの例を出したが、この例で最初に思いつくブランドによる価値は、価格のプレミアムであろう。私は実家が靴のメーカーだったので、実感しているが、ファッション系のアイテムというのは価格が上がるほど原価率が下がっていくことが一般的である。つまり、2万円の靴と10万円の靴が並んでいたとして、殆どの場合原価が5倍違うことはまずない。靴を例にすると分かりにくいかもしれないが、私はほぼ買うことがないが、たまにブランド物のTシャツで1枚10万円とかで売っていたりするものがあるが、その原価が3000円で売っているTシャツの30倍以上かかっている可能性はほぼないと思う。では、これらのラグジュアリーブランドのビジネスがなぜ成り立っているのかといえば、評価の高いブランドの商品を持っているという優越感であったり、自己満足、他人からの評価など、そのブランドの商品を持つことの無形の付加価値が重なりあって顧客が高い価格を支払う状況が作られていると言える。

もちろん良いことばかりではない。あまり悪い例を私の口から具体的にいうのは控えるが、よく不祥事を起こした企業のブランドなどはブランド価値がマイナスにもなりうる。例えば、自動車で安全性に疑問を抱かれるような問題が起こると、普通に考えて顧客は同条件であれば、安全性に疑問がある商品は選ばない可能性が高くなる。

このように、ブランドエクイティというものは、良くも悪くも、ビジネスをするうえで、マーケティングをするうえで、マーケターの日々の業務に必ず何らかの影響があるものである。

ロゴを変えたからといってその企業自体が変わるわけではない!

というわけで、ブランドが大事なことはご理解いただけた気がするが、ではこれをどのようにマネジメントしたらよいかというと正直に申し上げて私もここで述べるほどの答えは持ち合わせていない。ただ、CMOという立場でブランドを管理することが多かったため、これまで体験したブランドマネジメントで気をつけなけばいけないことをご紹介できればと思っている。

私は、楽天とトライトで2回ほど、自分が所属する企業のCI(Corporate Identity いわゆる企業ロゴ)の変更を責任者かそれに近しい立場で経験した。そのような時に良く思うのが、社内の過剰な期待である。よく、新規サービスを始めるときなども、皆で一生懸命サービス名/サービスブランドの議論をしたりするが、私としては、名前というのはなんでも良いと思っている。大事なのはサービス自体の品質であったり、顧客体験、口コミによるサービスの評判だったりするからだ。それが伴わないのに、名前の候補選びに時間をかけるのはそれほど生産的な仕事だとは思わない。人の名前だって同じであろう。私の名前が堀内公博であっても、山田太郎であっても、私の経験とそこから得られたスキルにはおそらく何の違いも出ないと思う(今から変えろと言われると困るが)。

つまり、企業のロゴや名称を変えること自体には正直大きな価値はないと思った方がよい。寧ろこれまで知られていたロゴや企業名を捨てることになるので、CI変更自体はデメリットになることの方が遥かに大きいことの方が多いのである。

たまに、素晴らしいデザイナーにこれまでよりも格段に格好いいモダンで洗練されたロゴを作ってもらったら、会社のイメージも同じようにモダンで洗練されたものになるのではないかと思っていそうな人がいるが、はっきり言って世の中そんなに甘くないのである。

では、ブランドエクイティとかブランドイメージみたいなものがどのように出来上がっていくのかといえば、この答えは簡単で、ひとつの企業やひとつのサービスから発せられるあらゆる情報や顧客体験の総和により形成されるということだ。

これも可士和さんからの受け売りだが、可士和さんが新しいクライアントのCIを作る時に何を考えるのかといえば、その企業を様々な角度からみて、経営者や社員のこれからこの会社、このブランドをどのように発展させたいのかを聞き、その方向と今の立ち位置のGapや問題点を聞き、どの側面をどう見せてあげることで進みたい方向に近づけるのかを考えるのだと話していた。この話の核心は何かといえば、私は、どの角度を見せるかは選べても、CIを変えることだけでその企業自体の形を変えることなどできないということだと思う。この視点は本当に重要だと思う。ブランドについて考えるときにまず一番最初に考えてほしいポイントである。

ちなみに、名称について少し触れたので、ブランドの名称についても少し触れておきたい。大前提としてルイ・ヴィトンのようなプレミアムブランドを別にすると、基本的にブランド名称というのは、サービスの内容が分かりやすいものほどよいというのが私の立場である。その代表例が楽天で、楽天のブランドマネジメントで一番最初に決めたのも原則楽天グループのすべてのサービスは、楽天+〇〇という構造で〇〇に分かりやすいストレートな名称をつけるという方針であった。楽天カード、楽天モバイル、楽天銀行のような感じである。よく、いろいろな意味を掛け合わせたブランドの由来を一生懸命説明してくれる人がいたりするが、私は申し訳ないが分かりにくいという感想しか持たない。そもそも説明しなければいけない名称など手間がひとつ多いだけな気がしてしまう。サービスの名称を見ただけで、サービスの内容が直ぐに連想出来る方がコミュニケーションとしては遥かに楽であると思っている。

CI変更とはブランドの方向性を変える切っ掛けの手法の一つ

では、たまに見かけるCI変更などは何のために行うのであろうか?そもそもCIを変更するだけでは多くの場合何も変わらず、寧ろ新しいCIを認知させるためのコストが大きくかかることになるので、デメリットの方が実は大きい。私は答えは1つしかないと思う。切っ掛け作りである。

先ほど述べたように、ブランドというのは、CIを変えたから変わるというものではない。様々な側面でブランドエクイティが向上していくのはその会社が行っている企業活動全体の結果としてである。ということは、本質的にブランドを今いる地点から別の地点へと飛躍させる、シフトさせるためには、企業活動自体をそのディレクションへシフトさせなければいけない。また、そうするということを社外にも分かりやすく伝えなければいけない。もちろんその方法はCIの変更だけではない。経営者・リーダーに社内のメンバーを惹きつける強力なリーダーシップがあるのであれば社内向けにはそれでも良いだろう。その企業に強力なPRの発信力とか、コーポレートブランディングの予算を大量に使う余裕があるということであれば、社外向けにはそれでも構わない。他にも様々な手段はあるのだ。ただ、CI変更もたまにやるくらいであれば、ひとつのオプションとして検討しても良いのかもしれない程度に考えてもらえれば良いと思う。

ブランドマーケティングと会計の相性の悪さ

ブランドマネジメントにおいて次に理解をしておかなければいけないのは、手法として長期的な活動になる可能性が高く、短期的な効果を大きく期待しない方がよいという点である。もちろん、新商品、新サービスの発売などで、大規模なマーケティングキャンペーンを行い垂直的に立上げを狙うことや、商品が差別化されておりSNSのインフルエンサーマーケティングで一気に利用者を獲得するなどのケースがあることは否定しない。ただ、これも統計を取ったわけではないので分からないが、このような状況を実現しようとして成功する確率は限りなく低いと思う。

ということで、私は再現性が低いリスクの高いマーケティング施策というのはあまり得意ではないので、その辺の話はそれが得意な方にお願いするとして、ブランドマネジメントは長期的な時間がかかる前提で話を進める。

まず、なぜ長期の時間がかかるのかといえば、ブランドエクイティの向上というのは、基本的にはストックとして蓄積されるタイプのマーケティング施策であるからである。そもそも”equity”という英語の単語の意味自体が、純資産とか株主資本とか株式という意味なので、ストック的な価値を表現していると考えられる。一方パフォーマンスマーケティングというのは、一般的にはフローの活動である。今月投資した広告宣伝費に対してROASやROIが幾らになるのかというのは、基本的にPLを見ているわけで、BSを見ているわけではない。なぜそれが可能なのかといえば、事業によって投資回収期間は異なるが、1か月とか、3カ月とか、半年とかある程度短期間にパフォーマンスを計測出来ることを前提にマーケティングを行っているからである。半年とかになってしまうと少し辛くなるが、3カ月程度でパフォーマンスが計測出来るのであれば、1年の投資コストの打ち9カ月分くらいは当期の業績に計上できるため、PLの管理と非常に相性がよいということになる。私は、パフォーマンスマーケティングとデジタルマーケティングの投資が20年で急速に拡大した理由というのは実はここにあると思っている。

一方で、ブランドマネジメントというのは、ストック型の投資施策である。一般に資産系の投資というのはBSに資産計上され、投資金額は税法で決められた減価償却期間で案分されて費用化される。このため、お金を支出したタイミングと費用を計上するタイミングにずれが出てくるので、費用計上と収益実現のタイミングをコントロールすることが可能である。しかし、ブランドエクイティという試算は研究者がいろいろトライをしていることは理解しているが、おそらく会計帳簿に載せるレベルの精度で計算することはおそらく不可能であると思う。わたしは、これを理解している経営者、CMOが非常に少ないと感じている。ここが、多くの企業でブランドマネジメントを行い、ブランドエクイティを継続的に向上するような施策ができない大きな理由のひとつであると思っている。

ブランドエクイティとは長期にわたって少しずつ積み上げるもの

ちょっと会計の堅苦しい話をしたので、ではなぜブランドがストックなのかということを考えてみたい。一番分かりやすいのがブランドエクイティの事例の最初に上げた認知度である。もちろん人間は一度覚えたことも忘れてしまうことがあるため、認知度が一度上がれば維持し続けられるわけではないが、一般的に企業が継続的に同程度の活動をしていれば、おそらくブランドの認知度というのはある程度維持され、ストックの資産となって積みあがる。その証拠に、新年度が始まった瞬間に前年までの企業認知度がゼロになって、すべての会社がゼロから認知を獲得しなおすなどということはあり得ないであろう。もしそんなことが起こるとすれば、世の中スタートアップが成功し放題である。さらに、新年度に前年度の認知度がある程度引き継げるということは、同時に前年度末の認知度は当然前年度1年間のみで獲得したものである可能性も著しく低い。同じように、以前にブランドエクイティの例として話した「安心感」のようなブランドイメージであったり、「価格プレミアム」についても同様のことは言えるであろう。

このように考えるとブランドマネジメントが長期的な施策である理由はご理解いただけるのではないかと思う。ブランドマネジメントに費やした費用やリソースというのは、今結果としては見えなくても、辛抱強く続けられれば、自分で気が付かないうちに少しづつ積み上げられていくものなのだ。企業の認知度が上がり、純粋想起の量が増えれば増えるほど、広告を使わなくても自社のサイトに自然流入のトラフィックが流れてくるなどというのは代表的な例である。その意味で、Full Funnel Marketingのパートでも述べたが、ブランド系の投資というのは会社に余裕がある場合を除いて、短期の成功を狙ってギャンブル的に一か八かで投資をすべきではないというのが私の基本的な考えである。

ブランドマネジメントに関する意思決定はCEOの仕事

そして、この辺まで理解できてくると、最後にブランドマネジメントの責任は誰が持つのかという話になる。CMOを長年やってきた私がいうのも責任放棄になる気もするが、結論から言うとCEOしかあり得ないと思う。多くの会社でマーケティングの責任者がブランド管理の責任者になっていることは多いと思う。もしくは、PRの責任者のこともあるであろう。その理由は、この2つの職種が企業としての対外的な情報発信、コミュニケーションを取りまとめていることが多いからであると考えている。その点ではなんとなく正しい気もする。ただ、その2か所を抑えれば、対外的なコミュニケーションは本当にコントロール出来るのであろうか?例えば、営業はどうであろう?営業は顧客とコミュニケーションを取らないのであろうか?例えば、ネット系のサービスであれば、マーケティングより、PRより圧倒的に顧客とのコミュニケーション量が多いのは自社が提供するWebのサービスそのものであるケースが殆どである。人事はどうであろう?人事は社内だけであろうか?いや、多くの企業で人事は採用活動で対外的に多くのコミュニケーションをしていることが多い。このように、企業から外部のステークホルダーにコミュニケーションをとる機会というのは基本的にはマーケティングと、PR以外で多く発生しているケースが殆どである。では、ブラント統括のための新しいCXOを作ればいいのだろうか?Chief Brand Management Office(CBMO)であろうか?私の予想はおそらくワークしない。なぜなら、この職責を全うしようと思うとほぼCEOと役割がオーバーラップしてしまうからだ(たぶん同じ理由で、CIOとかCISOという職種がまともに機能しているのを見たことがない気がする。。。)。結論、CEOがやるしかないと思う。もちろんかつての楽天での私のようにそれをサポートすることは出来るかもしれないが。

と説明すれば、論理的にはそうだよねと理解してもらえるかもしれないが、もう少し具体的に話さないと実感できないと思うので少し書いてみる。例えば、マーケティングの部署内だけを考えても問題は発生したりする。良くある話は、ブランドコミュニケーションを管理するとなると最初に作ったりするのはVI(Visual Identity)ガイドラインという、自社が作成する対外的なクリエイティブのガイドラインを作ったりする。CIガイドはロゴだけだが、VIはもっと広範にブランドクリエイティブの色使いであったり、フォントであったり、グラフィックの表現手法であったり広範囲な規をする。私のようにパフォーマンスマーケティングをがっつりやっていると、このVIガイドを作成して部下に提示すると、このガイドを真面目に守ると今パフォーマンス広告で回している勝ちバナーを全部変えないといけなくなるみたいな話が出てくる。まあ、全部は極端かもしれないが、ある程度入れ替える必要があるのでパフォーマンスが落ちるみたいな話は経験上10中8,9の割合で発生する。さあ、貴方ならどうするであろうか?この時急進的にブランドマネジメントを強化したいのであれば、答えはそれでもVIを守れとなる。しかし、それには足元のパフォーマンスマーケティングの成果は悪化することになる。それでも、言えるであろうか?この話は何を意味するかというと、短期の施策と中長期の施策のバランス、つまり、ブランドマネジメントの強化を短期を犠牲にしてでも急進的に行うのかという話である。ここで、VIを徹底的に守れといえるCMOは相当なCEOのサポートがない限り少ないと思う(これは自分も含めて)。

同じような話で、マーケティングを越えた例も考えてみよう。ある企業で、CRMのメールの配信量が多すぎて問題になっている。A社のサービスに登録するとスパムメールがいっぱい飛んでくるみたいなSNSの投稿も散見される。同時に、この企業では、営業の管轄で電話による会員顧客に対する連絡も頻繁に行われていて、こちらも同様に評判がわるい。ブランド管理責任者としてブランドマネジメントの強化をCEOより命ぜられたCMOはCRMチームに指示してメールの量を30%減らしてもリピーター獲得数の減少を5%程度に抑えられるという手法を発見し即座に実行に移すことにした。これを1か月運用したところ、SNSでの悪評もメールについては確実に減っている。では、次は営業に電話の量を減らせないかと営業本部長に相談しに行く。答えは、売上が下がるかもしれないので電話のCall数は減らせないと断られる。CMOの貴方はどうするだろう。もちろんCRMの事例などは話して説得するであろうが、おそらく営業本部長に売上が下がってもよいからやれとは言えないであろう。

具体例として、ぱっと思いつくことを書いてみたが、この2つ事例を見ただけでも、ブランドマネジメントというのは、総論賛成、各論反対になりやすい典型的な課題であることが理解出来るであろう。私の経験上、ブランドマネジメントの強化というのは、短期的にはマイナスに働くことが各論では非常に多い。なぜなら、そもそもブランドマネジメントとはストック型の長期施策だからである。このため、急進的にブランドマネジメントを強化するということは、短期のマイナスを許容するという事である。このトレードオフをどこで許容し、どこで許容出来ないかを判断出来るのは、全社を俯瞰的に見ているCEOにしかできない仕事だと思う。私がCMOの立場でその判断まで含めてやってよいと言われればやるが、おそらくその意思決定はCMOの職務権限の範囲を大幅に越えたものになっていると思う。

ブランドマネジメントを上手くできて、ブランドエクイティが向上することは、多くの場合その企業、サービスの中長期的な競争優位性の向上に寄与することが多い。しかし、その実現のためには相当な忍耐力を要するし、長期間の取り組みを行わなければならない。これを高い精度で意図的にコントロール出来ている会社は本当に稀だと思う。はっきり言って、私自身も出来たといえる事例があるかといわれれば存在しない。しかし、それをやり切った暁には、素晴らしい成果が待っている。その証拠のひとつが、何度か例に上げたルイ・ヴィトンなどのブランドマネジメントを行うLVMHのベルナール・アルノーがForbesの世界長者番付で2年連続で世界No.1になっているという事実であろう。ブランドものを定価で買うということをほぼしない私のような人間でさえ、同社がマネジメントしているブランドコミュニケーションというのは本当に徹底しているなと思う。私からは、当然それほどの成功事例はないが、いろいろ苦労してきたので躓きやすいポイントは理解しているつもりなので、次回以降にブランドマネジメントの具体的な考慮点について議論していきたい。