今回は前回に引き続き、マーケティング組織内の組織編制の手法について紹介する。今回は、商品やブランド、サービス毎にチーム編成を行うブランド別組織についてである。
- メリット
- オペレーションが1チーム内で完結するためディレクションがしやすい
- メンバーが1ブランドに特化して業務をするためタイトル理解が高めやすい
- デメリット
- ファンクション毎の情報共有がしずらくなるため、専門スキルの向上がしずらい
- 専門スキル人材がブランドごとに孤立するため育成がしずらい
- 1ファンクションに1名アサインしようとすると組織の人数規模が大きくなる
- 向いている組織状況
- 各ファンクションのノウハウがある程度確立されている
- 各ファンクションにスキルのある人材をアサイン可能
- マーケティング組織全体の人員数が十分に確保出来ている
- 実施できる条件
- 経験豊富な人材が確保できる大規模なマーケティング組織
ブランド別組織のメリット
- オペレーションが1チーム内で完結するためディレクションがしやすい
- メンバーが1ブランドに特化して業務をするためタイトル理解が高めやすい
ブランド別の最大のメリットは、実際のオペレーションと組織の切り分けが一致しているため、オペレーションが一つのチームで完結しやすく、チームリーダーのディレクションが効きやすいという点が挙げられる。このため、マネジメント経験が少ないディレクション担当には適した組織形態であるといえる。
ブランド別組織のデメリット
- ファンクション毎の情報共有がしずらくなるため、専門スキルの向上がしずらい
- 専門スキル人材がブランドごとに孤立するため育成がしずらい
- 1ファンクションに1名アサインしようとすると組織の人数規模が大きくなる
一方で、ファンクション別の情報共有や専門スキルの人材トレーニングの機会は大幅に限られて来るため、専門スキルが十分に備わっていない人員が組織構成の場合は、各ファンクションのパフォーマンスの改善スピードがファンクション別の組織と比較して遅くなる傾向にある。また、各ブランドの各ファンクションの専任担当をおこうとすると必要な人員数はブランド数×ファンクション数となるため、組織規模は相対的に大きくなる。その人数が揃わないのに無理やりブランド別の組織を適用しようとすると、①ブランド別チーム内でファンクションの兼務が多発する、②特定のファンクションだけタイトル間を兼務する人員が多発するのいづれかが発生するが、①の場合は残念ながらその他担当のような扱いになってしまった人材はいつまでたっても専門スキルが身につかないという状況になりがちであるし、②の場合は、担当者の専門スキルは実質的にファンクション別組織に近くなるため向上の可能性は高まるが、ブランド別組織のメリットであるチームの一体感やディレクションのしやすさは低くなり、ブランド別の組織形態にした意味が低減する。
ブランド別組織が向いている組織状況
- 各ファンクションのノウハウがある程度確立されている
- 各ファンクションにスキルのある人材をアサイン可能
- マーケティング組織全体の人員数が十分に確保出来ている
一言でいえば、スキルがある程度高い人材を各チームの必要ファンクションに十分にアサイン出来る規模の組織に向いている組織形態ということになる。
ブランド別組織が実施できる条件
- 経験豊富な人材が確保できる大規模なマーケティング組織
繰り返しになるが、ブランド別の組織というのは、一見よくあるマーケティング組織の組織形態であるように思えるが、3点の向いている組織状況を確認すると、成熟したマーケティング組織に適した組織形態であると言える。逆に、マーケティング組織のメンバーがトレーニング途上、成長途上である比率が高かったり、そもそも会社全体でマーケティング組織の強化や手法の転換を計るというようなフェーズにおいては、人材の成長や、組織・手法の変革スピードが上がりずらいという欠点がある。
現実的には、マーケティング組織の置かれている状況に応じて、ファンクション型組織とブランド別組織のハイブリッドのような形になることが多いのではないかと思われる。ただ、マーケティング組織が50人以下くらいの規模であれば、ファンクション型の組織にすることをお勧めする。専門スキルを向上させて行くためには、PDCAの高速回転により経験回数を増やし、自他の成功・失敗事例の情報にアクセスして学ぶ機会を大きくすることが必要である。しかし、単純な割り算をしてみれば、分かるが、タイトル数×ファンクション数の数字で組織の人数を割ったときにその数字が2以下になる場合は、組織内の多くの役割において一人で孤立している人が発生していることを意味している。そのような状況は出来るだけ避けるべきであると考える。
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